2021年10月13日水曜日

スカスカな物質の世界

水素原子の大きさを東京ドームくらいとしたら,その中心に置いたビー玉が陽子1個が原子核。炭素や酸素などの他の原子も似たり寄ったりなので,我々の体はスカスカです。ほとんど何も無い。上の例に戻ると東京ドームの外壁全体にわたってぼやっと存在しているのが電子1個。

もちろん電子が何かスクリーンにぶつかって輝点として表示されるとき,そこに電子があるとわかりますが,その他の時はぼやっと,なんとなくそこにあるだけ。

一方,電子の重さは陽子の2000分の1程度。しかし大きさが無い。正確には「電子の大きさを測定できない」のでわかっていません。

東京ドームがいっぱい集まっている状況を考えます。ドーム同士が押し合いへし合いしていて,そのそれぞれの中心にビー玉があって,ドームの外壁はぼやっとしたマイナスの雲。あとは何も無い。

これがスカスカな物質の世界,スカスカな我々の体です。


2020年6月15日月曜日

今,読んでいる本,
・Charles Portis の True Grit
・Thomas Sowell のDiscrimination and Disparities
True Grit(無理矢理訳すと,「本当の勇気」)は,いわゆる西部劇の時代が舞台で14才の女の子が殺された父の敵を討つお話です。昔ジョン・ウェインの主演で映画化され「勇気ある追跡」との題名で日本でも公開されています。近年も「トゥルー・グリット」とのタイトルで再映画化されました。残念ながら,どちらの映画もまだ見たことはありません。
数ページに1箇所くらい,どうしても訳が繋がらない箇所があったので訳本を当たってみることにしました。
調べてみると1969年の三田村裕の訳で「勇気ある追跡」,2011年に漆原敦子の新訳でハヤカワ文庫から「トゥルー・グリット」として出版されていました。どちらの訳本も今では入手困難なので,図書館経由で取り寄せました。
まだ数ページしかチェックし切れていませんが,三田村さんの訳はやや甘くて誤訳すれすれの箇所がちらほらあります。漆原さんの訳は,三田村さんの訳本も元になっているとは言っても原文に忠実に訳されていて,かなり勉強になります。ただ文章の読みやすさからいうと若干,三田村さんの訳に軍配があがります。
Discrimination and Disparities は差別に関する本で,今ちょうど米国で問題になっているBlack Lives Matter問題ににも通じるものがあります。ロジックの切れ味が鋭くて,とても読み応えあり。
Thomas Sowellは米国の経済学者で,本を沢山書いているようですが,なぜか日本では有名ではありません。翻訳書も1つか2つくらいです。90%ほど読み終えたところで原書の改訂版が出ていることを知り,再度購入の上,初めから読みなおしています。このくらい論理的に英語で書けると気持ちいいですね。
下記の写真は漆原訳の「トゥルー・グリット」。
同書を拓殖大の図書館から取り寄せました。
ちっちゃい文庫本です。なのにAmazonで(古本なのに)¥5,000



2020年4月3日金曜日

ガーゼマスクあれこれ

普通のガーゼのマスクをしていると,かなり近くにいる人のくしゃみによる「つばのしぶき」をブロックできるでしょう。しかしくしゃみの「しぶき」はずっと水分を保持しているわけではないので,いずれ乾燥して粉末状の「しぶきの核」のみがのこります。この核は「しぶき」よりずっと小さい。
一方,我々はマスクを通して呼吸しているので,水分の無くなったもろい核は容易にばらばらになって我々に吸い込まれます。ガーゼマスクは「しぶき」はブロックできますが,それより小さなつぶつぶの粉末は透過してしまいます。もとの「しぶき」にウイルスが含まれていれば,吸い込まれる粉末にもウイルスが含まれているので,ウイルスは容易に我々の体内へと吸入されます。これが健康な人が普通のマスクをしていても意味が無い理由です(コロナウイルスからガーゼマスクで身を守れない理由)。
コロナウイルス罹患者がガーゼマスクをしている場合,自分のくしゃみによるつばのしぶきをあたりにまき散らすことは防ぐことができます。しかし上と同様に,くしゃみの「しぶき」はずっと水分を保持しているわけではありません。我々はマスクを通して呼吸しているので,水分の無くなったもろい核は容易にばらばらになって,今度はあたりにまきちらされることになります。しかし,そこが屋外であったり換気の良い場所ならば,十分に希釈されると期待できるので問題にならない。コロナウイルス罹患者がマスクをすべき理由です。
・CDCが詳しく説明しないのは,説明がめんどうだから,および広報担当者が本当の理由を知っていないから。
・政府がマスク装着の音頭をとっているのは,主に安心感を定着させるためでしょう。
・ここ数日,海外で日本のマスク装着を見直す傾向があるのは,単に日本の発症率が低いことについて他に理由を見いだせないからでしょう。これについては日本株のBCG予防接種が効いているのではという話もあります,現にオーストラリアの医師の主導で試験が始まってます。WHOも試験の実施を認めています。しかし個人的には,海外の方の多くは手を洗わない,ハンカチで鼻をかんでそれで手を拭く,などの生活習慣の違いが大きいと思っています。
マスクをしていれば顔に手を触れないとの理由で,物に触れる => 手 =>自分といった経路での感染を防ぐことができることも期待できます。しかしこれはマスク本来の目的やメリットと異なるのでこれ以上は言及しません。
前に述べたように感染症を治療する医療機関では,特殊な規格のマスクやゴーグルなど,より厳密な対策をとっていますが,我々一般人が普通の生活において,特殊規格のマスクやゴーグルなどで対策することはほとんど無意味です。
もちろん周囲に気持ち悪いと思われて,自然と social distance が形成されることは期待できます。
医療従事者がマスクをするのはお話を聞いたり処置を施す過程で患者と特に密な接触をする場合が多いと想定されるからです。つばのしぶきの交換がありえるので。
外科医は自分のつばのしぶきを患者の患部に吹きかけないためにマスクをします。歯科医も患者の口の中に直接自分のつばのしぶきを拭きかけないためにマスクをします。

2020年2月29日土曜日

Behind the masks

日本人のマスク信仰は盲目的なところがあって,とりあえずマスクをしていれば安心と言うところが大方の意見ではないでしょうか。

例えばインフルエンザウイルスは0.1μm程度です。市販のマスクの面の穴は5μmなので,インフルエンザウイルスは軽々と通り抜けます。

なのになぜ,場合によってはマスクが有効かというと,ウイルスの保菌者が咳をしたときにあたりにまき散らすしぶきの大きさが5μmなのでマスクで抑えることが期待出来るからです。

既に空気中にあるウイルスは水分に覆われていないので市販のマスクの面の穴を軽々と通り抜けます。

なので,咳や鼻水などの症状が無い人がマスクをする必要はありません。
症状がある人は,周りにウイルスを含んだしぶきをまき散らさないために,マスクをする必要があります。



医療機関の従事者も患者と接近して問診をする機会がおおい(病人に自らのしぶきをかける・病人からしぶきをあびる可能性が高い)のでマスクの必要性があります。


参考:
・CDC疾病対策センターのコロナウイルスQ&Aからの抜粋。

  Q: CDCはコロナウイルスを防ぐためにマスクの使用を勧めているのか?
  A: CDCは健康な人が呼吸器疾患から自らを守るためにマスクをすることを勧めてはいません。


・NY市のお知らせ。

 今現在,市民は下記の事をする必要は無い:
 ・健康ならばマスクをすること(つまりマスクをしなくても良い)

Mask prevents the spread the `mist` from the coughs of patients. The size of the mist is typically lager than the 5 micro-mater (5 k nano-mater). It means that one can prevent the spread the disease using his mask. The size of the virus in the air is around 0.1 micro-mater (100 nano-mater) which can not be prevented by the masks available on the shops, even the N95s. The reason why the medical practitioners wear the mask is simple; it can prevent the transfer of their germs to patients via mist and also can prevent the virus in the mist from the patients. Practitioners usually do the medical examination by close interviews and there are HIGH RISK to exchange their `mist`.

2018年8月9日木曜日

地球を救った男

1983年9月26日、当時将校であったスタニスラフ・ペトロフは、いつものようにソビエト連邦のミサイル早期警報システムを監視していた。すると突然、警報システムが作動し、米国からソビエト連邦に向けて複数のミサイルが発射されたことが告げられた。計5発。彼はなんの確証もないにもかかわらず、それをシステムの誤動作であると判断した。もしも彼が軍の規定に沿って「即座に報復」の判断をしていたならば、1983年に人類のほとんどは死に絶えていた。後に太陽光の雲による散乱によるセンサーの誤動作が原因と判明。米国はソビエトに向けてミサイルを発射していなかった。退役後のインタビューで、彼は、「もしも戦争を始める気だったら、最初に5発打ち込むわけが無い」と語っている。


A Soviet officer who prevented a nuclear crisis between the US and the USSR and possible World War III at 1983. The man who saved the world.

https://youtu.be/jAGh__ccjyM

2017年10月7日土曜日

うなりの物理

大阪市立大学教授をご退職されて今はソウル大学でご活躍中の村田惠三先生のご講演。最近翻訳された書籍「身近な物理」も題材に、「うなりの物理」についてお話しいただきました。

そのものを見て絶対値を推し量ることは難しいですが、物事を比較して違いを見いだすことは比較的容易です。言葉を換えるとズレを見いだすことは比較的簡単です。

身近な例ですとノギスも1/10のメモリのズレを利用して絶対値を出しています。ワインの味も「比較」することで評価しています。

物理の話ですと光の速度の計測を初めとしてやまほど例があります。ノーベル物理学賞を受賞した重力波の検出も、2本のレーザー光の「ずれ」を利用しています。レーザー光一つですと決められないので。





2016年9月17日土曜日

2012年9月3日のメールから

2016年9月現在、理工学部(旧工学部)前の国道46号沿いは、歩行者と自転車のため理工学部の敷地の一部を使って道路拡張工事中である。理工学部正門両脇の桜は寿命とのことで伐採され、正門の幅が拡張された。

新しく出来た歩行者通路には旧工学部の3本の大木が残された。


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すずかけの木の伐採に反対します。

議題になるようですので,自分なりの考えをまとめてみました。

今日もあそこの木の下を歩いてみました。伐採されるかもしれない木は23本ほどです。中には手を回しきれないほど幹が太くなった木もあります。丁寧に手入れをされている大木です。あそこまで見事な木を切るのは本当に惜しい。

木は邪魔なもの,だから切ってしまおうと考える人は道路のことしか頭にないのでしょう。もったいないことです。是非,あそこを往復してゆっくりと歩いてみてください。木漏れ日のなかでリラックスしてください。工学部にも誇れる木々があることを感じてください。失ってから気がついても,もう遅いのですから。

道路の拡張が自転車の往来をスムーズにするためだとしたら返って危険にするだけです。2列,3列に並列走行する輩が出てくるでしょう。歩道を猛スピードで駆け抜けるでしょう。4号線の歩道,あるいは上田から三高,松園方面への歩道を見るとよくわかります。登校下校時の猛スピードの自転車には恐怖を覚えることもあります。

あの木は我々のものではありません。今後入学してくる学生さん,新しく工学部を職場とする方々,オープンキャンパス時にやってくる高校生さん,卒業生の皆さん,後援会の方々,保護者の方々,みんなの財産です。

工学部はソフトパスエンジニアリングを標榜しています。あそこまでの立派な木を伐採する「ハードパス」は選択肢には無いと思います。

前工学部長のご尽力で工学部正門から右手に折れる歩行者専用の小道ができました。

同じように木と木に挟まれた小道を作っては如何でしょうか。国土交通省の交差点のところから工学部に入ることのできる小さな門を設けます。歩行者だけが入ることのできる小さな門です。そこから木々をぬって工学部正門へとつながる小道を整備する。思い描いただけでも楽しいです。是非散歩したい。小学生だって登校下校時に散歩できる。市民の方にも喜ばれるでしょう。このほうがよっぽどソフトなパスです。

実現を願っております。


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